若手懇談会前回の講演会
114回講演会報告について


第114回若手懇談会開催報告

【日時】2014年5月12日(月)14時00分〜17時15分
【場所】日本ガラス工業センター
【テーマ】これからのガラス-成形・加工技術-

[講演1]「材料からみた3Dプリンターの現状と将来動向」
      東京工業大学大学院理工学研究科 萩原恒夫 先生

3Dプリンターと呼ばれる三次元積層造形法(Additive Manufacturing; AM法)について、各国の動向を絡めた技術発展の経緯、造形方法と材料の相性、今後の展望などをサンプル、映像を交えてご講演いただきました。現在は、樹脂の成形に使用できる熱溶融積層造形法(FDM法)の廉価版が市場に出回り始めたため一般消費者を対象に大きく商品展開しているが、金属やセラミックスの成形に使用できる粉末焼結法、インクジェット法などについては、依然として高価な装置と環境および材料開発が必要であるとのことです。サンプルを実際に手に取ることができ、技術の進歩をより身近なものとして捉える事ができました。 萩原先生ご講演



[講演2]「ゾルゲルナノインプリント技術を用いた光学素子作製」
      日本板硝子株式会社 久保雄一郎 先生

微細な凹凸を持ったガラス構造体を作製することができるゾルゲルナノインプリント技術について、製造方法および特徴、用途、課題についてご講演いただきました。微細構造を得るために有機官能基の数が異なるSiO2原料を用いて成形性を向上させたり、有機物を添加することで気孔率を調整して屈折率を変化させたりなど、最終成形物の形状および特性に合わせた材料の選定例をご紹介いただきました。多くのSEM写真を用いて製造方法および条件別に説明いただき、細かな点まで理解することができました。 久保先生ご講演



[講演3]「希少金属代替材料開発プロジェクトについて」
     旭硝子株式会社 松本勝博 先生

ガラスの研磨に広く使われている酸化セリウムについて、NEDO主催の「希少金属代替材料開発プロジェクト」で行われた、研磨メカニズムの解明および代替研磨剤の開発、研磨効率の向上についてご講演いただきました。量子分子動力学シミュレーションにより、砥粒の表面状態や金属の価数に基づいて酸化セリウムの研磨メカニズムを明らかにし、代替品として鉄系ペロブスカイト酸化物や酸化マンガン系スラリーの可能性が挙げられたとのことです。また、電界砥粒制御技術を用いることで研磨レートを向上させ、砥粒使用量の80%削減に成功したとのことです。この他、様々な取り組みについてご紹介いただき、非常に身近な技術についてのメカニズムを、深く理解することができました。 松本先生ご講演



 今回、「これからのガラス−成形・加工技術−」をテーマにご講演いただきました。参加者の質問を通じた討議を含めて大変盛り上がる講演会となりました。また、通常業務では後手に回りがちな原理原則まで踏み込んだ内容であり、多くの知識が得られたようです。講演会後の懇親会では講演内容に関連する事柄にとどまらず活発な交流が行われました。多数のご参加に感謝致します。今後ともNGF若手懇談会をよろしくお願い致します。

以上

2014年5月14日
若手懇談会 副会長
梅谷奈緒・赤嶺宗子




講演会アンケート結果 過去の講演会

若手懇談会のトップページへ戻る