若手懇談会前回の講演会
128回講演会報告について


第126回若手懇談会開催報告

【日時】2017年10月13日(金)14時00分〜17時10分
【場所】日本ガラス工業センター
【テーマ】ガラスを極める ―ガラスの物性評価技術ー

[講演1]「高温ラマン散乱測定による酸化物ガラス融液の構造解析と融体物性」
         東京工業大学 矢野 哲司 先生

 ガラス融体の構造解析の有力な手法である、高温ラマン測定ならびにその適用事例を中心にご講演いただきました。 ナノ秒パルスレーザの利用により短時間でSNの良いスペクトルを取得可能であり、現在は室温から1600℃まで評価可能なシステムを 構築されているとのことでした。解析事例として、アルカリホウ酸塩ガラスにおけるホウ酸異常の解明や、アルカリケイ酸塩ガラスでの 結晶化・分相とQn分布の関係解析などをご紹介いただきました。 加えて、現在検討されている気体の溶解についても紹介いただきました。本ラマン散乱測定を用いることで、融液の物性と構造を 定量的に関連して説明できる可能性がある、とのことで、大変興味深く拝聴いたしました。

矢野先生ご講演



[講演2]「ガラスの熱粘弾性特性評価とガラスレンズのモールドプレス成形解析」
      名古屋大学 荒井 政大 先生 

 ガラスレンズの成形条件最適化のため、クリープ試験を用いたガラス材料の熱粘弾性特性の評価、 ならびに、有限要素法を用いた光学レンズのプレス成形過程の解析結果などをご紹介いただきました。 従来は、ポアソン比が一定であると仮定されていたのに対して、体積弾性率が時間的に変化しない、 という仮定することで、実験結果を再現する、とのことでした。本解析手法を用いて、レンズ成形において 2段階冷却を行うことで大幅にプロセス時間を短縮できること、金型形状を最適設計してあてつけを行うことで、 高精度な成形が可能であることをご説明いただきました。 現象の解明から製造条件の検討に関する一連のお話は、非常に貴重であり勉強になりました。

荒井先生ご講演



[講演3]「ガラスの脆さ(もろさ)の評価技術」
      滋賀県立大学 吉田 智 先生 

 ガラスの脆さに関して、そもそも「脆さとは?」という視点で、身近な事例の紹介から、物理的な意味、 その評価指標および技術をご説明いただきました。脆さの評価として、破壊靭性値、永久高密度化、クラック発生確率に関して、 その背景理論や利点および欠点を概説いただきました。加えて、顕微光弾性法による応力評価技術についてもご紹介いただきました。 本手法では、クラック発生駆動力を直接・定量的に評価することが可能である、とのことでした。ガラスの脆さに対する理解を深め、 現象を定量化して蓄積して役立てることがご研究のモチベーションとのことであり、今後の展開が非常に楽しみなご講演でした。

吉田先生ご講演



 今回、「ガラスの物性評価技術」というテーマで、第一線でご活躍の先生方にご講演いただきました。 いずれのご講演でも、先生方のご経験・エピソードも交えてご説明いただき、大いに刺激を受けた会になりました。 また、本会を良い交流の場としてご活用いただきましたことに感謝いたします。今後ともNGF若手懇談会をよろしくお願い致します。

以上

2017年11月3日
若手懇談会 副会長
浜田 剛、川口 雄揮




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