若手懇談会第83回例会
第83回講演会報告について


第83回若手懇談会開催報告

【日時】2006年4月27日(金)14時〜18時
【場所】(社)ニューガラスフォーラム 田中田村町ビル8階A・B・C会議室
【参加人数】27名(講師3名、事務局は除く)
     (懇親会参加者:26名+講師3名+事務局1名)

【講演内容】
 今回の若手懇談会は28名の方に参加いただき、3件の講演および懇親会を開催いたしました。今回は”ガラスの製造および製品化”をテーマとして講演を企画し、ナノガラス技術プロジェクト、ガラスの分析方法、新しいガラス溶融技術プロジェクトについて講演をしていただきました。質疑応答も活発で、とても有意義な懇談会とすることができました。


[講演1]「ナノガラス技術プロジェクトとニューガラスフォーラム」
      ニューガラスフォーラム 田中 修平 先生

 ナノガラス技術プロジェクトについて、その発足から得られた成果、そして製品化にいたる過程までをご紹介いただきました。また、フェムト秒レーザーの特徴と、それを用いて微細な材料加工を施すことにより、ガラスに数々の機能性を付与することができる理由と、実際にガラス中に光導波路・回折格子・マイクロレンズなどの微小光部品を形成できる例を分かりやすく解説していただきました。とくにフォトニック結晶を利用した三次元光回路は夢のあるお話で、早々の製品化が望まれます。印象に残ったのは、実際に製品に結びつくような研究成果を出すのにもっとも大切なことは、担当者の熱意であるとおっしゃられたことで、研究者が研究に没頭できるような研究環境作り・人間関係作りが大切であるということを実感させられました。


[講演2]「ガラスの欠点とその解析方法」
      日本板硝子テクノリサーチ 酒井 千尋 先生

 高品質なガラス製品を生産するためには、ガラスの欠点を極力少なく抑える必要があり、そのためのガラス中欠点の解析方法はきわめて重要な技術です。ガラス欠点にはどのような種類のものがあるか、どのような原因があるか、どのような分析方法があるかについて分かりやすく解説していただきました。また、すじや脈理の分析について、EPMAは精度的に0.02wt%の検出限界があるが、迅速さが優先される現場では有利な分析方法であるとのこと。ガラス中の泡欠点には開放泡と充填泡があり、開放泡についてはガス分析することにより原因をある程度特定することができ、充填泡についてはEPMA組成分析が有効であるとのことです。このような複雑な系や原因が絡んでいる事象は物事をシンプルに考えることが重要であるとのアドバイスをいただきました。また、ガラス欠点の原因特定にはガラスの製造条件に関する詳細な情報が有力な手がかりになるとのことでした。


[講演3]「高熱効率ガラス溶融技術研究の歴史とNGFの省エネガラス溶融技術への取組み」
      物質・材料研究機構ナノセラミックスセンター 井上 悟 先生

 新しくスタートした新しい高効率ガラス溶融技術について、省エネ溶融技術の開発の歴史に関するトピックスを交えながら分かりやすくご紹介いただきました。従来の省エネ溶融技術の開発が実用化に至らなかった要因などポイントをおさえて解説いただき、その反省から今回のプロジェクトのオリジナリティや工夫した点などを興味深く伺えました。すなわち、原料段階から均質化・微細粒子化しておくことや、はじめから製造ラインへのスケーラビリティを考慮した炉の設計を行っている点に、実用性の高い技術を開発しようという熱意を感じました。最新のハイテクは使わず、ガラスの歴史は溶融法の歴史でもあるということに立ち返り、もっとも基本的な要素技術を根本から改革することにより、従来では実現できなかったニューガラスを作製しようという温故知新的な研究姿勢は、我々も見習うべきところ大です。



 講演会後の懇親会は若手懇談会のメインイベント。講師の先生方を囲み、ご講演いただいた内容についてさらに深く議論する場、横のつながりを強化するための場でもあります。今回も講師の先生方は入れ替わり立ち代りの人だかりで、お酒や食事をあまり召し上がることができなかったのではないでしょうか?最後まで若手にお付き合いただき感謝です。前回から恒例となった、中締めの講師の先生からのコメントは好評で、我々若手にとっては貴重なアドバイスとなりました。基本に立ち返ること、シンプルに考えること、バランスを大切にすること、肝に銘じたいと思います。今回はいつもより参加人数は少なかった反面、活発な議論により濃密な交流が図れたと思います。次回は研究所の見学も兼ねた、場所を変えての懇談会です。是非多くの方のご参加よろしくお願いします。

以上



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