2021年5月18日の国連総会にて,2022年を国際ガラス年とすることが定められた。この記念すべき年を,産業界,学会,工芸の分野をはじめ,ガラスに関連する全ての人々で祝福すべ
く,世界各国で様々な活動が行われている。国際ガラス年の活動では,文明の中でガラスが果たしてきた役割を再確認するとともに,持続可能で平等な社会に向けて,ガラスの教育機関,
企業,美術館などの公共機関の活動を活性化し,若い世代の科学者やエンジニア,ジェンダーの平等,発展途上国の取り組みを支援する国際的な同盟の枠組み作りを目指すこととしている。 国連は2030年に向けた開発目標(SDGs)を掲げていることはご承知の通りだが,国際ガラス年の趣旨説明には,ガラスがどのようにこの目標達成に貢献できるかについて紹介されてい
る。 SDGs17目標のうち,以下の11 目標の達成に貢献できることが示されており,ガラスが人々の生活に深くかかわり,その多様な機能により世の中に貢献できる素材であることを,ガラスに関わるものとしても大変誇りに思う次第である。
目標 3: 全ての人に健康と福祉を (生体機能ガラスや医療用各種ガラス容器の提供)
目標 4: 質の高い教育をみんなに (ICG : International Commission on Glass による教育)
目標 5: ジェンダー平等を実現しよう (国際ガラス年の役員や各種活動への女性参画)
目標 6: 安全な水とトイレを世界中に (発泡ガラス体や分相多孔質フィルター等の提供)
目標 7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに (太陽・風力エネルギー利用に貢献)
目標 9: 産業と技術革新の基盤をつくろう (情報通信分野などでの技術革新)
目標11: 住み続けられるまちづくりを (都市・建築物・交通分野での貢献)
目標12: 作る責任,使う責任 (リサイクルをはじめとする循環型経済実現)
目標13: 気候変動に具体的な対策を (省エネルギーや脱炭素への貢献)
目標14:海の豊かさを守ろう (自然原料でリサイクル可能なガラスへの置換え)
なかでも,「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」は,ニューガラスフォーラムの設立目的である「ニューガラスの産業および技術開発等に関する情報の収集・提供,調査研究,国際交流,研究開発等を行うことによって,ニューガラス産業の基盤の整備及び振興を図り,産業の発展,国民生活の向上,国際経済の繁栄に寄与する」に合致するものである。ニューガラ
スフォーラムにおいても,国際ガラス年日本実行委員会の活動への協力を含め,国際的な活動への取り組みを継続的に進める計画である。
2020年初頭から始まったコロナ禍は,社会・経済の構造変化を大きく加速させる契機となったようである。DX による技術革新,気候変動が連続するなかでのカーボンニュートラルへの要請の高まり,世界各地で発生する地政学リスクの増大,など従前から進んできた変化がここにきて一気に加速してきたように感じる。世界は,「アフターコロナ」の今後数年間で「社会と経済の構造変化」の時期を経験しながらサステナブルな社会・経済の構築に向かうものと見られる。 ニューガラスフォーラムにおいても,コロナ禍でここ数年低調にならざるを得なかった各種活動を再度活発化し,ガラスの高機能化,高付加価値化,脱炭素化等に向けた取り組みを継続
しながら,設立目的に掲げる「産業の発展,国民生活の向上,国際経済の繁栄に寄与」していくことを切望する。会員並びに関係者の皆様の更なるご支援・ご協力をお願いして,会長就任のご挨拶とさせていただく。
一般社団法人 ニューガラスフォーラム会長
日本板硝子株式会社 取締役代表執行役社長兼CEO 森 重 樹
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