[事業の概要]
1.実施内容
次の5項目について実施しました。
1)データ取得(平成10年度、平成11年度)
今後期待される組成のガラスを製作し、その物理・機械的特性、電気・磁気的特性、
光学的特性、熱的特性、化学・生化学的特性等の物性を測定する。
2)データ収集(平成10年度、平成11年度)
大学・研究所の未収録のガラス関係の博士論文を調査、収集する。
3)解析・ガラス設計支援システムの開発(平成11年度)
ガラスデータベースの使い勝手を向上するため、データベースINTERGLADを
用いたニューガラスのデータ解析・ガラス設計支援システムを開発する。
4)試験評価方法の開発(平成10年度、平成11年度)
物性測定法及びガラス組成分析法を研究し、物性測定、組成分析に供する。
5)調査(平成10年度、平成11年度)
欧米のガラスデータベースについて調査し、その知見をINTREGLADの整備に役立てる。
2.実施体制
ニューガラスフォーラム内に産官学の当該分野の学識経験者、専門家からなる「推進委員会」
を設置し、その下にデータ取得を促進するための「整備委員会」、データ収集を行うための「調査
委員会」、解析・設計支援システムの開発を促進するための「DB活用委員会」を設置し、本事
業を円滑に推進した。また、これらを実施するために大学及び国の研究所との共同研究、参加
企業内へのニューガラスフォーラム分室の設置等を行いました。
1)委員会 委員会委員 ◎:委員長 ○:委員
委員会 |
委 員 |
平成10年度 |
平成11年度 |
推進委員会 |
滋賀県立大学 |
曽我直弘 教授 |
◎ |
◎ |
東京大学 |
安井 至 教授 |
○ |
○ |
東京大学 |
牧島亮男 教授 |
○ |
○ |
大阪府立大学 |
南 努 教授 |
○ |
○ |
名古屋工業大学 |
野上正行 教授 |
|
○ |
大阪工業技術研究所 |
矢澤哲夫 |
|
○ |
日本板硝子 |
藤井清澄 |
○ |
|
日本板硝子 |
長嶋廉仁 |
|
○ |
旭硝子 |
中尾泰昌 |
○ |
○ |
HOYA |
柳田裕昭 |
○ |
○ |
日本電気硝子 |
内田 弘 |
○ |
○ |
整備委員会 |
滋賀県立大学 |
曽我直弘 教授 |
○ |
○ |
東京大学 |
安井 至 教授 |
◎ |
○ |
東京大学 |
牧島亮男 教授 |
|
○ |
大阪府立大学 |
南 努 教授 |
|
◎ |
名古屋工業大学 |
野上正行 教授 |
○ |
○ |
大阪工業技術研究所 |
山中 裕 |
○ |
|
大阪工業技術研究 |
矢澤哲夫 |
|
○ |
無機材質研究所 |
井上 悟 |
○ |
○ |
日本板硝子 |
長嶋廉仁 |
|
○ |
旭硝子(株) |
中尾泰昌 |
○ |
○ |
HOYA |
柳田裕昭 |
○ |
○ |
日本電気硝子 |
内田 弘 |
○ |
○ |
日本板硝子テクノリサーチ |
野津敬師 |
○ |
○ |
セントラル硝子 |
上村 宏 |
○ |
|
セントラル硝子 |
安井 清 |
|
○ |
日立製作所 |
内藤 孝 |
○ |
○ |
ニコン |
梅垣洋一 |
○ |
|
ニコン |
木戸一博 |
|
○ |
旭テクノグラス |
鈴木英俊 |
|
○ |
調査委員会 |
滋賀県立大学 |
曽我直弘 教授 |
○ |
○ |
東京大学 |
安井 至 教授 |
○ |
○ |
東京大学 |
牧島亮男 教授 |
◎ |
◎ |
大阪府立大学 |
南 努 教授 |
○ |
○ |
名古屋工業大学 |
野上正行 教授 |
○ |
○ |
東京大学 |
井上博之 助教授 |
○ |
○ |
東京工業大学 |
安盛敦雄 助教授 |
○ |
○ |
京都大学 |
中西和樹 助教授 |
○ |
○ |
九州大学 |
武部博倫 助教授 |
○ |
○ |
大阪工業技術研究所 |
福味幸平 |
○ |
○ |
京都工芸繊維大学 |
大田陸夫 教授 |
○ |
○ |
甲南大学 |
町田信也 助教授 |
○ |
○ |
岡山大学 |
尾坂明義 教授 |
○ |
○ |
長岡技術科学大学 |
松下和正 教授 |
○ |
○ |
東京理科大学 |
渡辺裕一 助教授 |
○ |
○ |
慶應義塾大学 |
平島 碩 教授 |
○ |
○ |
日本板硝子 |
藤井清澄 |
○ |
|
日本板硝子 |
長嶋廉仁 |
|
○ |
旭硝子 |
中尾泰昌 |
○ |
○ |
HOYA |
柳田裕昭 |
○ |
○ |
日本電気硝子 |
内田 弘 |
○ |
○ |
DB活用委員会 |
滋賀県立大学 |
曽我直弘 教授 |
|
○ |
東京大学 |
安井 至 教授 |
|
◎ |
東京大学 |
牧島亮男 教授 |
|
○ |
大阪府立大学 |
南 努 教授 |
|
○ |
名古屋工業大学 |
野上正行 教授 |
|
○ |
大阪工業技術研究所 |
矢澤哲夫 |
|
○ |
日本板硝子 |
長嶋廉仁 |
|
○ |
旭硝子 |
中尾泰昌 |
|
○ |
HOYA |
柳田裕昭 |
|
○ |
日本電気硝子 |
内田 弘 |
|
○ |
松下電器産業 |
吉田昭彦 |
|
○ |
住友電気工業 |
中村元信 |
|
○ |
2)共同研究
(1)滋賀県立大学 曽我直弘 教授
機械的、熱機械的特性の測定方法の研究、測定(平成10,11年度)
(2)東京大学生産技術研究所 安井 至 教授
高周波特性の測定方法の研究、測定(平成10,11年度)
解析・設計支援システムの開発(平成11年度)
(3)東京大学 牧島亮男 教授
博士論文の調査(平成10年度)
光学特性の測定方法、測定(平成11年度)
(4)大阪府立大学 南 努 教授
ゾルゲルガラスの評価方法の研究、評価(平成11年度)
(5)名古屋工業大学 野上正行 教授
磁気的特性、生体適合性の測定方法の研究、測定(平成10,11年度)
(6)大阪工業技術研究 矢澤哲夫 室長
粘性、光学特性の測定方法の研究、測定(平成11年度)
3)ニューガラスフォーラム分室
(1)旭硝子 硬度の測定(平成10,11年度)
(2)HOYA 光吸収係数の測定(平成10,11年度)
(3)日本電気硝子 粘性の測定(平成10,11年度)
(4)日本板硝子テクノリサーチ ICP組成分析(平成10,11年度)
4)ガラス製作、組成分析、物性測定の外注
下記の企業の協力を得た。
日本板硝子テクノリサーチ、旭テクノグラス、赤川硬質硝子工業所、
日立協和エンジニアリング、住友金属テクノロジー、セントラル硝子、
ニコン、東レリサーチセンター、住ベテクノリサーチ、水戸旭ファイン硝子、
コーケン、クリスタル光学、富士通、富士通システムソリューションズ
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[事業の成果]
1.データ取得
ガラス製作・物性測定によって研究開発に役立つ信頼性の高いガラスデータを得た。
平成10年度 組成数:150件 データ数:約8500件
平成11年度 組成数:315件 データ数:約15000件
データを取得したガラス組成、用途分野、測定項目は下記のとおりである。
(a)製作ガラスの組成
アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、リン酸塩系ガラス、ゾゲルガラス等
(b)製作ガラスの用途分野
電子部品基板用、高耐候性用、鉛フリーガラス用、鉛フリー低融点ガラス用、生体材料用、
磁性ガラス用、シンチレーション用、高機能繊維用、非線形光学用、着色フィルター用、
新種光学ガラス用、鉛フリークリスタルガラス用等
(c)測定物性
物理的機械的特性 :密度、ヤング率、剛性率、ポアソン比、硬度、破壊靭性
電気的磁気的特性 :体積抵抗率、誘電率、誘電正接、磁化率
化学的生化学的特性:耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、生体適合性
熱的特性 :熱伝導率、比熱、熱膨張係数、ガラス転移温度、歪み点、徐冷点、
軟化点、粘性、結晶化温度、放射率、示差熱分析
光学的特性 :屈折率、光吸収係数、紫外線吸収端、ベルデ定数、蛍光寿命
その他 :均質度、比表面積・細孔分布(ゾルゲルガラス)
(d)その他のデータ
製作ガラスの成分分析、ガラス製作条件、アニール条件、ガラス化状態
2.データ収集
ガラス関係博士論文を調査し、ガラスデータを収集した。
平成10年度 論文:55件、組成数:約1300件、データ数:約3500件
平成11年度 論文:64件、組成数:約950件、 データ数:約8500件
収集した論文の内容は次のとおりである。
(a)光学機能関係(各種スペクトル、屈折率、吸収、透過) 41件
(b)電気・磁気機能関係(電気伝導度、イオン伝導、超伝導) 20件
(c)ゾルゲルガラス関係 17件
(d)その他(粘性、年弾性、構造、結晶化、多孔質、生体他) 41件
3.解析・設計支援システムの開発(平成11年度)
インターネット上でガラスデータベースを基にガラスデータの解析、ガラス素材の設計に効果的
に活用できるソフトを制作した。この解析・設計支援システム を従来のINTERGLADに組込んで
一体化した新しいINTERGLADをインターネット上でユーザー利用に供するものである。
本データ解析・材料設計支援システムは、検索機能、データの重回帰分析及び計算による物
性予測・組成設計機能、ガラス化範囲解析・判定機能、データ密度解析機能、結晶化ガラス・ゾ
ルゲルガラス検索機能、データカスタマイズ機能、図示等の可視化機能等の各種機能を有して
いる。
4.調査
海外のガラスデータベースについて調査し、INTERGLADの整備に役立てた。
5.試験評価方法の開発
熱機械特性、高周波特性、磁性特定、光学特性、ゾルゲルガラス特性の測定法、
ICP組成分析法について検討し、ガラスの物性測定、組成分析に供した。
本事業で得られたデータをINTERGLADに登録することにより、ガラス組成設計等の研究開発
に一層役立つデータベースを構築するができ、データベースの普及および研究開発の促進に一
層寄与することが期待される。
解析・設計支援システムを組み込んだ新INTERGLADは従来に比べて格段に使い易く、ガラ
スの専門家をはじめ、企業のガラス研究者、学生等の幅広い層の利用に適しており、今後の普
及が大いに期待される。
本事業で研究開発に有用なガラスデータベースを整備することができたが、なお不十分であり、
ガラスデータの質の向上、プロセス依存型ガラスのデータベース構築、ガラス製作・物性測定によ
るデータ取得、データの効率的収集、システムの改善等を継続して実施していく。
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