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101回講演会報告について 第101回若手懇談会開催報告
[講演]「企業と大学における研究」 伊藤先生は京大で助手を勤めたのち、旭硝子に入社、現在は東京工業大学応用セラミックス研究所AGC旭硝子ガラス・無機材料共同研究部門にて研究をされています。今回は、特に企業での研究の経験や、研究に対する考え方についてご講演いただきました。 自身の企業での経験の中から、建築用結晶化ガラスの開発を例に、研究としては成果をあげたのだが事業としてはうまくいかないこともあること、また、超小型増幅用導波路の開発を例に、研究自体は順調に進んでいても、市場の情勢などの変化により開発を途中で断念せざるを得ないこともあることなどをお話しいただきました。 そうして、企業においては、誰のための研究かを考えること、また、何年先に実用化させるのか、ということも考える必要があるという言葉をいただきました。企業での研究に携わっている我々はともすれば研究に没頭しまいがちであり、それだけではいけないということに改ためて気づきました。 [講演]「ガラス研究40年」 作花先生にとって記憶に残る研究のいくつかのご紹介、ならびに、それに関して研究のモットーについてお話いただきました。 先生が大学卒業後に始められたガラス繊維の強度の研究では、予想外の大きな反響が得られ、さらにより良い研究を、そして良い論文を書きたいと思われたのだそうです。ただし、発表をするためには完璧主義は捨て、また、研究方法、研究目的も柔軟に変更しなければならない、というお話がありました。その他にオキシナイトライドガラスの非経験的分子軌道計算のお話の中では、材料中の原子の並び方をイメージする、数式の物理的な意味を理解することが大事であると主張されました。いずれも示唆に富むお話で、研究に携わる者としてこれらの言葉を肝に銘じておかなくてはならないと感じました。また、何より「ガラスが好きなこと」が伝わるご講演でした。 [講演]「光学ガラスの屈折と分散と新種光学ガラスの基礎的研究と連続溶解」 泉谷先生からは、低分散高屈折ガラスの作成、光学ガラスの連続溶解についてご講演いただきました。アッベ数は架橋酸素による吸収波長のみの関数と表現できるということ、また、実験的にさらに価数の小さな陽イオンだとイオン半径とともに架橋酸素による吸収波長は増えるが、価数の大きな陽イオンであればイオン半径とともに架橋酸素による吸収波長は減少することを証明したとご説明していただきました。これによって低分散高屈折ガラスの作成が可能になったとのことです。 また、その他に、白金の溶解窯を用いた連続溶解によって、ガラスの溶解時間が短期間ですみ、ガラスの歩留まりも向上したとのことでした。 泉谷先生はいまだ現役でガラス研究をされているとのことです。その研究姿勢に頭が下がる思いでした。 今回は毎年恒例となった「大先輩に聞く」という題でご講演いただきました。ご高名な先生方の貴重なアドバイスが聞けるということで、いつもにも増してたくさんの方にお越しいただきました。先生方の講演を聞いて感じたことは、「基礎は大事である」ということです。今後の研究生活への大きなアドバイスになりました。 次回からは、辻村新会長をはじめとする新役員により企画・運営されます。今後とも若手懇談会をどうぞよろしくお願いいたします。 以上 |
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