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107回講演会報告について 第107回若手懇談会開催報告
[講演]]「電子状態計算によるガラス中のナノ構造の物性評価」 田村先生は第一原理計算による計算材料学を専門とされております。今回の講演では、第一原理電子状態計算の概要(密度汎関数法および擬ポテンシャル法)について解説頂くとともに、先生が取り組んでおられる様々な研究項目の中から、シリカガラスを対象とした、(i)XANES/ELNESスペクトル計算による局所構造解析、(ii)ガラス特有の歪んだリング構造が光学特性や力学特性に及ぼす影響について、数多くの計算結果と測定値を織り交ぜてご紹介いただきました。 先生は現状のガラス材料の研究について、まだ過去の経験則に基づいた議論が多いと感じておられるとのこと。これからは【理論計算】【ナノ計測】【材料プロセス】の三身一体となる横断的な研究としていき、合理的な材料開発を行えるようにしていくことの重要性を強く述べられていたことが非常に印象的でした。 [講演]「計算物質科学とガラスの構造・物性予測への応用」 高田先生は、旭硝子株式会社に入社されてから長きにわたり、ガラス材料のシミュレーションに関する研究・開発に従事されてきました。今回の講演では主として、先生が取り組んでおられるテーマの中から、シリカおよびホウ酸ガラスを例に、温度・圧力等の外力によるガラス材料の構造変化及びその諸物性に及ぼす影響をシミュレーションにより解析した研究内容をご紹介いただきました。また、御講演の中で先生は、木を見て森を見ないことにならないようにすることをご自身の信条とされていることも話されました。木 = 材料の電子・原子レベルの理論的なsimulation, 森 = 複合的な現象が反映された実際の材料プロセスを表し、理想的なミクロな領域の現象を解析して満足するのではなく、それがマクロな実現象ともちゃんと合致するかという視点を絶えず持ち続けることが重要であるとのことで、研究者としての強い信念を感じました。 [講演]「ガラスレンズ・ガラスデバイスのモールドプレス成形シミュレーション」 荒井先生は材料力学を専門に研究されており、数ある研究課題の1つに『熱粘弾性体の特性評価と成形加工シミュレーション』があります。今回は、ガラスレンズのモールドプレス成形を題材とし、レンズの最適成形条件を定量的に評価するための研究内容についてご紹介いただきました。講演では数値シュミレーションするにあたって、その前段階であるガラス構成方程式の定式化、材料特性算出の重要性、および注意点について熱心に述べておられました。先生は多くのレンズメーカーから委託を受けているが、メーカー側から提出される材料特性はあまり正確でないことがあり、御自身で測定されるようになったとのこと。シミュレーションにかける熱意と行動力に感服しました。 今回は「ガラスのシミュレーション技術」をテーマに先生方にご講演いただきました。今回も講演後の質疑が盛り上がった講演会となりました。また今回ご講演頂きました3人の先生方ならびに参加者の皆様には講演後の懇親会にもご参加頂き、本会を盛り上げて頂きましたこと、感謝致します。今後ともNGF若手懇談会をよろしくお願い致します。 以上 |
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