若手懇談会前回の講演会
113回講演会報告について


第113回若手懇談会開催報告

【日時】2014年2月19日(水)14時00分〜17時25分
【場所】日本ガラス工業センター
【テーマ】ガラスと競合する材料

[講演1]「サファイヤ単結晶の製法と物性」
      株式会社 信光社 石井誉 先生

酸化アルミニウムの単結晶であるサファイアが、透明性、物理的、化学的安定性からウエハ、ビューポート、時計のカバーガラスなど多用途に使用されていることをご説明いただき、歴史、製法、物性についてご講演いただきました。人工サファイアの方が天然よりも結晶性が高いためスターサファイアのアステリズム(星)がより鮮明に表れることや、石英ガラス、一般ガラスと比較して紫外、赤外の透過性の高さが優れている点を紹介いただきました。サファイア育成方法ではベルヌーイ法、チョクラルスキー法、TSMG法の3つの手法が成長速度、物性等から目的に応じて使い分けられているということです。また、サンプルを実際に目にすることによりご講演いただいた内容をより具体的に捉える事ができました。 石井先生ご講演



[講演2]「セルロースナノファイバーの製造と応用」
      京都大学生存圏研究所 矢野浩之 先生

地球上に大量に存在するセルロースナノファイバー(CNF)は約4~100nm の幅で、鋼鉄の5倍以上の強度を有し、高いポテンシャルを持つ素材であるということをサンプル、映像を交えてご講演いただきました。可視光波長よりも径が短いためにCNFを使用したシートは透明性を保つことができ、ディスプレイ等の分野への利用が期待されているということです。生物由来のナノファイバーは植物だけでなくカニの殻などからも得ることができるということです。CNFは価格競争力、化学修飾のしやすさ等からも産業資材としての可能性が期待されるバイオマス材料であり、他素材との組み合わせという点でもこの先の展開を含めて非常に興味を持つことができました。 矢野先生ご講演



[講演3]「薄板ガラス及びハイブリッド材料の高機能化」
     株式会社 機能性ガラス研究所 藤田卓 先生

板ガラスの製造方法や各製造方法での製品、使用数量などのデータを交えながら、薄板ガラスの歴史の流れに沿って、詳しくご講演いただきました。初期の薄板ガラス製造法として機械吹き法が使われていたころから病理検査で使用するプレパラート向けカバーガラス、スライドガラスとして安定的な需要があり、これらは世界中で使用されていたということです。現在の極薄ガラスではダウンドロー法、リドロー法、フルコール法、フロート法、フュージョン法などが用途に応じて用いられており、更なるガラス特性の改善、新規用途への対応が続けられているということです。ご講演を通してこれまでの薄板ガラスの流れを把握することが、現在も続く高機能化に向けた取り組みにつながっていると理解することができました。 藤田先生ご講演



 今回、「ガラスと競合する材料」をテーマにご講演いただきました。ご参加いただいた方から多くの質問を頂き質疑応答を含めて大変盛り上がる講演会となりました。またサンプルを手に取ることで内容をより深く理解するができたようです。講演会後の懇親会では講演内容に関連する事柄にとどまらず活発な交流が行われました。多数のご参加に感謝致します。今後ともNGF若手懇談会をよろしくお願い致します。

以上

2014年2月21日
若手懇談会 副会長
赤嶺宗子・梅谷奈緒




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