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126回講演会報告について 第126回若手懇談会開催報告
[講演1]「トポロジカルデータ解析を用いた材料構造解析」 パーシステントホモロジーと機械学習を融合させたトポロジカルデータ解析手法ならびに、その材料科学への応用例に ついてご紹介いただきました。幾何構造を定量的に分析可能なトポロジカルデータ解析手法を、初学者にもわかりやすく基礎から丁寧 に解説いただきました。本手法はユニバーサルな手法であり、材料の種類やデータ形式によらず適用可能であるとのことでした。具体的 な適用例として、シリカガラスの構造解析に留まらず、高分子材料のマイクロクラック解析等の事例を紹介いただきました。本手法は、 ガラスの構造解析に対して新たな強力なツールとして期待を感じるものであり、大変興味深く拝聴いたしました。 [講演2]「消光プロセスが生む新しい光機能性材料」 消光原因の解明を行うとともに、それを利用することで新たに長残光蛍光体の開発に成功された内容に関してご 講演いただきました。Ce3+蛍光体において、熱ルミネッセンス励起スペクトル測定等を通じて、伝導体への電子移動が消光の支配的 な要因であることを、実証された内容を紹介いただきました。解明された消光プロセスから材料設計指針を決定し、新たにYAGGセラミッ クスを作成して評価した結果、従来のSrAl2O4:Eu2+-Dy3+粉末を凌駕する緑色残光強度を実現された、とのことでした。更なる展開 として、黄色残光蛍光体の開発、生体イメージング応用としての赤色残光蛍光体の開発についてもご紹介いただき、今後の展開が 非常に楽しみに感じるご講演でした。 [講演3]「有田焼の発色機構について」 身近な存在である有田焼に関して、その発色機構の調査事例をご紹介いただきました。 特に、未だ明確には解明されていない「辰砂釉」と呼ばれる赤色釉の発色機構について、ご紹介いただきました。 赤色発色原因として様々な説があるなかで、有力とされている「数〜数十nmの金属微粒子説」に対して、XRD、TEM、XAFS分析を用いて 検証した結果をご説明いただきました。現在のところ、これが必ずしも赤発色の原因ではない、とのことでした。さらに検討を進めた結果、 釉中の結晶性が悪い金属銅、もしくは釉中の1価の銅の量などの変化が銅赤発色に影響を及ぼしている可能性がある、とのことでした。 今まさに取り組まれている内容をご報告いただき、大いに刺激を受けたご講演でした。 今回、「大先輩と若手に学ぶ」というテーマで、先生のご経験を中心にその背景も含めて概説いただき、大変励みに感じた会になったと思います。 また、本会を良い交流の場としてご活用いただきましたことに感謝いたします。今後ともNGF若手懇談会をよろしくお願い致します。 以上 |
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