若手懇談会前回の講演会
129回講演会報告について


第129回若手懇談会開催報告

【日時】2018年3月5日(月)14時00分〜17時10分
【場所】日本ガラス工業センター
【テーマ】ガラスを極める −ガラスの特徴を生かした材料設計−

[講演1]「ゾル−ゲル法による光機能性シリカガラスの合成と機能開拓」
      首都大学東京 梶原 浩一 先生

 ナノ構造を有し、可視・紫外発光効率も高い希土類ドープシリカガラスのゾル−ゲル合成を中心にご講演頂きました。従来のゾルーゲル法によるシリカガラス合成で課題となっているゲル乾燥時の亀裂や、合成時間が長い、試薬量が多い等の問題を克服するため新たな手法に取り組まれその成果についてのご説明でした。ケイ素源に4官能アルコキシドのみを使用したマクロ多孔質シリカゲル形成においては、水混合手順を最適化することや酢酸アンモニウムによるpH調整が有効とのことで、大変興味深く拝聴いたしました。

梶原先生ご講演



[講演2]「結晶化ガラスのフロンティア」
      長岡技術科学大学 小松 高行 先生

 結晶化ガラスについての概要と結晶化により得られる高い機能性・特性についてご紹介頂きました。従来の熱処理とは異なる、位置選択的なレーザー照射による様々な形態(ドット、ライン、二次元平面など)を持つ機能性結晶のパターニングについてのご説明があり、将来の様々なデバイスへの応用が期待される内容で勉強になりました。また最後には、自ら微粉化する自己微粉化現象を有する強弾性結晶化ガラスのご紹介もあり、今後が非常に楽しみなご講演でした。

小松先生ご講演



[講演3]「リン酸塩ガラスの光機能性:低光弾性ガラスの光学素子応用に向けて」
      愛媛大学 斎藤 全 先生

 リン酸塩ガラスの光特性、ファイバーガラスの材料設計を中心にご講演頂きました。中でも電流センサー用ファイバーガラスは鉛フリー、ゼロ光弾性が求められるとのことでした。バリウム・スズリン酸塩ガラスにホウ素を追加することにより耐水性を良化し、低い光弾性定数との両立を成し得たとのことでした。鉛フリー化は現在、社会的ニーズの高い事項の一つですが、特性を維持しつつ紡糸性や耐水性といった使用上維持しなければいけない物性との両立に取り組まれる姿は技術者としても非常に勉強になりました。

斎藤先生ご講演



 今回、「ガラスの特徴を生かした材料設計」というテーマでご講演頂きました。いずれのご講演でも、先生方のご経験・エピソードも交えてメカニズムや手法についても詳しくご説明いただき大変勉強になった会になりました。また、本会を良い交流の場としてご活用いただきましたことに感謝いたします。今後ともNGF若手懇談会をよろしくお願い致します。

以上

2018年3月12日 NGF若手懇談会 副会長 北原 倫太郎、川出 剛




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