若手懇談会前回の講演会
135回講演会報告について


第135回若手懇談会開催報告

【日時】2019年7月10日(金)13時00分〜16時00分
【場所】TOTO株式会社滋賀工場/TOTOサニテクノ株式会社滋賀工場
【テーマ】「生活を支えるセラミックス」

[見学会] TOTO株式会社滋賀工場/TOTOサニテクノ株式会社滋賀工場
         

 TOTO株式会社滋賀工場/TOTOサニテクノ株式会社滋賀工場では衛生陶器の製造工程について見学させていただきました。見学では、原料の調製工程、衛生陶器の成形工程、成形された衛生陶器の乾燥・生素地点検工程、釉薬を塗布する施釉工程、焼成工程、検査工程の流れでご説明いただきました。最終的に焼成された陶器は焼成前に比べて約13%収縮し、その収縮率も部位ごとで異なるため、焼成後の形状を予測した成形を実施しているとのことでした。また、原料の調製についても20種類以上の天然素材について試験を実施して割合を調整しているとのことです。また、ロボットによる釉薬の全自動塗布、高効率な焼成窯の導入など省人化、省エネ化が推し進められており、複雑な形状をした製品にも関わらず、非常に効率的に生産が行われていたことが印象的でした。



[講演]「3D積層造形を用いたセラミックス部材開発」
       TOTO株式会社  安藤 正美(アンドウ マサミ) 先生

 3Dプリンタを用いた、セラミックスの積層造形技術についてご講演いただきました。はじめに3Dプリンタでのセラミックスの造形方法として知られる、スラリー積層造形法と、粉末積層造形法についてご説明いただきました。スラリー積層造形法では、半導体装置等に使用可能な物性を持つ造形物を製作可能なものの、部材の大型化が困難であり、一方、粉末積層造形法は大型部材を製作可能なものの、実用に耐えうる物性を得ることが難しいという課題があったとのことです。本研究においては、粉末積層造形法を用いてSiC(炭化ケイ素)とC(炭素)の成形体を作製し、真空中で溶かしたSi(シリコン)を含浸させ、焼成体にすることで、従来の鋳込成形品とほぼ同等の物性が実現可能になったとのことです。また、高強度の部材を成形するためにはセラミック粉末の流動性や、造形樹脂を十分に溶融するレーザー条件の選定が重要だということについても言及いただきました。本技術により高比剛性、高強度、高熱伝導かつ複雑な形状のセラミック部材が作製可能になるということで、今後の産業分野への製品展開が待ち望まれるご講演でした。

今回、「生活を支えるセラミックス」というテーマで見学会・講演会を実施させて頂きました。衛生陶器という日々の生活に欠かせない製品が生産されている様子や、半導体装置用セラミックス部材という、これからの発展が望まれる技術など興味深い説明を拝聴でき、大変勉強になる会となりました。また、本会を良い交流の場としてご活用いただきましたことに感謝いたします。今後ともNGF若手懇談会をよろしくお願い致します。




見学会後の集合写真


以上

2019年8月26日 NGF若手懇談会 副会長 池田 拓朗、藤原 卓磨

 


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