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第137回講演会報告 第137回若手懇談会開催報告
[講演1]「マテリアルズ・インフォマティクスを適用した材料開発ソリューションとその可能性」 株式会社日立製作所 公共システム事業部学術情報システム部第4G 所属 森田 秀和(モリタ ヒデカズ) 先生 マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を利用した材料開発環境の提供事業とその適用事例についてご講演いただきました。 顧客が提供した材料データを基に、MIを活用して材料特性の予測や組成案などを得ることができることから、無駄な実験を省くなどの工数の削減が可能です。 また、予測モデルから逆問題を解いて得られた実験条件をもとに実験を行い、実験結果を予測モデルにフィードバックするサイクルを繰り返すことが重要とのことでした。 他にも、テキストマイニング、画像解析やデータの可視化、類似検索用データベースの構築、および計測手順の最適化などのサービスも利用できるとのことでした。 これらは本格導入前に実証実験でき、本格導入の際には、これらの分析支援サービスで得られた予測モデルをクラウド上の分析基盤で自由に利用できるとのことです。 適用事例として磁性材料の開発の例を紹介いただきました。材料の散乱パターンを可視化してその変化を予測することで、大幅に実験回数を減らすことができたとのことでした。 グローバルでの競争に勝っていく上で、開発の迅速化や人材不足への対応には欠かせない技術であることが良くわかる講演でした。 [講演2]「電波シールド材料と電波吸収体による建築電磁環境の制御と応用」 名古屋工業大学 社会工学教育類 建築・デザイン分野 准教授 博士(工学) 一級建築士 弁理士 伊藤 洋介(イトウ ヨウスケ) 先生 建材における電波制御の必要性と電波吸収体の開発事例についてご講演いただきました。 電波の混信や、傍受される危険性、更には人為的な電波障害についてまで言及され、 これらを防ぐために電波を反射する電波シールド材や電波を熱に変える電波吸収体を適切に使用することが重要であるとのことでした。 電波の共振現象を利用して特定の周波数帯域の電波を選択的に遮蔽する欠損金網や、基材表面から内部にかけて誘電率を段階的に変化させることで 広帯域の電波を効率的に吸収できる広帯域電波吸収体について紹介いただきました。また、建材に求められる軽量化や安価な製造工程への取り組みについても言及していただきました。 さらに、これまでとは異なる用途として、電波式融雪装置の開発事例を紹介いただきました。従来の電熱線方式では断線の課題があり、 散水方式では地盤沈下等の課題がありましたが、電波吸収による発熱を利用することでこれらの問題を回避できる上、より低電力で効率的に融雪できるとのことでした。 電波を使用するうえでのリスクと、快適な電波空間を形成していくことの重要性が良くわかるとともに、より幅広い活用が期待できるご講演でした。 [講演3]「高非線形光ファイバによる光波の創生制御」 豊田工業大学 副学長 教授 博士(工学)大石 泰丈(オオイシ ヤスタケ) 先生 カルコゲナイドガラスなどの非線形ガラス材料を利用した光波の制御についてご講演いただきました。 光パラメトリック増幅を利用することで、波長多重通信が利用できるようになったことや、 非線形ガラスを用いることで使用できる波長域が大幅に拡がったことを説明いただきました。 安定した増幅性能を得るためにはファイバの波長分散の変動を制御することが課題ですが、ファイバ長を短くすることで、一番大きな変動要因であるコア径の揺らぎを小さくすることが一番良いとのことでした。 次に、カルコゲナイドガラスを用いて中赤外域での高コヒーレントで高感度なスーパーコンティニューム光を得る研究について説明いただきました。 波長分散が0ps/nm/kmよりも大きいとノイズ光の増幅作用によって位相の一致性が悪くなる課題がありましたが、 コア径(導波路分散)を変更して波長分散が0ps/nm/km以下となる波長域を広げることで高コヒーレントな光が得られるようになったとのことでした。 さらに、フォトニックバンドギャップの動的制御による光変調技術や、テルライトガラスを用いたファイバでのイメージ伝送技術についてもご紹介いただきました。 これまでの光通信技術の進歩に興味をひかれ、今後の更なる発展が楽しみなご講演でした。 今回「情報社会とガラス」というテーマでご講演頂きました。肥大化した情報資産の活用から、その通信手段の技術向上、更には情報漏洩のリスクを守る快適なオフィス環境に至るまで、
幅広い講演を聴講でき、大変勉強になる会になりました。伊藤洋介先生をご紹介いただいた日本環境アメニティ株式会社様に感謝いたします。
また、本会を良い交流の場としてご活用いただきましたことに感謝いたします。今後ともNGF若手懇談会をよろしくお願い致します。
以上 |
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