若手懇談会第78回例会
第78回講演会報告について


第78回若手懇談会開催報告

【日時】2005年2月25日(金)14時〜17時
【場所】(社)ニューガラスフォーラム 田中田村町ビル8階A・B・C会議室
【参加人数】22名(講師3名、事務局は除く)
     (懇親会参加者:19名+講師3名+事務局1名)

【講演内容】
 今回の若手懇談会は22名の方に参加いただき、3件の講演および懇親会を開催いたしました。参加人数はやや少なめでしたが、講師の先生方に非常に分かりやすいご講演をいただき、講演内容に関する質疑応答も非常に盛り上がりました。


[講演1]「フラットパネルディスプレー用基板の熱処理工程における寸法変化」
      日本電気硝子(株) 山崎 博樹 先生

 フラットパネルディスプレーの製造工程における熱処理時には基板の熱収縮が発生しますが、熱収縮量のバラつきが大きいと問題になります。ガラスの緩和現象に関する理論と寸法変化の精密な測定を組み合わせることにより、Tg付近のみならず低温域における体積緩和の推定が可能となり、ガラス基板の熱収縮量を正確に制御・把握できるようになることを示されました。ガラス基板への要求が厳しくなっていく中、このような理論・技術の重要性を感じました。

参考図書:
George W. Scherer "Relaxation in Glass and Composites" John Wiley & Sons,Inc.(A Wiley-Interscience Publication)

[講演2]「ホログラム技術のヘッドアップ・ディスプレーなどへの応用」
      旭硝子(株) 桜井 宏巳 先生

 ホログラム技術はイメージのみならず、回折素子、フィルター、干渉計測等への応用範囲も広い技術です。講演中にはイメージホログラムのサンプルを見せていただきました。自動車用のヘッドアップディスプレイ(HUD)については、ガラスコンバイナーとして未だホログラムが使用される段階には至っておりませんが、この数年ナイトビジョン等での実用化が進展しています。ホログラムの光記録への応用に関しては、大容量・高速化の実現が期待されています。これから先にいろいろな可能性のある技術であると感じました。

参考図書:
辻内順平編著 "ホログラフィックディスプレイ"(産業図書、1990)
辻内順平著 "ホログラフィー"(裳華房物理学選書22、1997)
久保田敏弘著 "ホログラフィー入門"(朝倉書店、1995)
L.Solymar and D.J.Cooke,"Volume Holography and Volume Gratings" (Academic Press, 1995)
H.J.Coufal, D.Psaltis and G.T.Sincerbox(Eds.) "Holographic Data Strage" (Springer, 2000)

[講演3]「ナノ粒子発光体のイメージングデバイスへの応用」
      東京理科大学  曽我 公平 先生

 希土類の発光の特徴は「発光線幅が狭い」「フォノンとの相互作用が弱い」ことであり、エネルギー準位が離散的なことからアップコンバージョンによる「赤外光→可視光」の変換が可能であること、希土類の発光を効率よく行うための低フォノンエネルギーのホスト材料が必須であり、希土類ドープナノ粒子ポリマーコンポジット化することで「多様な材質への透明性付与」「最適な希土類とホストの組み合わせ」「軽量・多様な成形性」が可能となることが分かりました。希土類の発光の基礎から、その研究の歴史、そして未来の夢のある話まで、非常興味深い内容でした。

参考図書:
3Dコンソーシアム http://www.3dc.gr.jp
立体映像産業推進協議会 http://www.rittaikyo.jp
塩谷繁雄・豊沢 豊・国府田隆夫・柊元 宏編 "光物性ハンドブック"(朝倉書店、1984)
櫛田孝司著 "光物性物理学"(朝倉書店、1991)
Richard C. Powell, "Physics of Solid-State Laser Materials (Atomic, Molecular, and Optical Physics Series)" (Springer-Verlag, 1998)
虎渓久良 「アップコンバージョンとニューガラス」New Glass, 5[2](1990)
E.Downing and L.Hesselink, "A Three-Color, Solid-State, Three-Dimensional Display" Science, 273(1996)1185-1189


 講演会の後には恒例の懇親会が開かれ、お酒も入って更に活発な議論が交わされ、参加者同士の親交を深めました。

 懇談会では「講師の方への事前質問」「講演途中の質問」等の試みも行なっています。今回から新年度役員に切り替わりましたが、今年度も張り切って運営していきますので、次回も更に活発で有意義な会となるよう、皆様のご参加をお待ちしております。

以上

2005年3月8日
若手懇談会 副会長
山本 一洋



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