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第80回講演会報告について
第80回若手懇談会開催報告
【講演会・見学会内容】
[講演1]「ガラスからの非線形光学結晶の生成およびその光学特性」
[講演2]「物質研究所機能性ガラスグループの研究概要」(オムニバス形式) (1)「コンビナトリアルガラス合成システム」 (2)「第一原理計算手法によるガラスへのアプローチ」 (3)「ファイバヒューズと光ヒューズ〜壊れるファイバあれば護るファイバあり〜」 (4)「ドライ/ウェットプロセスの組み合わせによるガラス上多機能三次元ナノ構造体」 物質・材料研究機構 物質研究所 機能性ガラスグループ (1)小西 智也 先生 (2)末原 茂 先生 (3)轟 眞市 先生 (4)和田 健二 先生 小西先生からは、コンビナトリアルガラス合成装置に関するご講演を頂きました。自動調合装置・並列熔融装置・物性評価装置を駆使して、希土類を含まない蛍光ガラス(発光中心については現在研究中)や赤色系着色ガラス、高硬度ガラスなどの研究を精力的に進めておられるとのことでした。 末原先生からは、基本ガラス形成物質(例としてB2O3 SiO2 P2O5 TeO2)のクラスターモデルを使って、第一原理計算からガラスの特性(非線形光学特性、屈折率等)を計算するという内容のご講演を頂きました。屈折率やχ(3)の実測値と計算値の比較が行なわれ、屈折率に関してはかなり近い値が得られることが分かりました。第一原理に関する分かりやすい説明と、計算を実施する上での注意、ガラスと計算科学に関する先生の考察が非常に興味深かったです。計算のみでは何にもならず、実験結果へのフィードバックが重要であり、常に「知りたいことは何か?」を頭に置くことの重要性を再認識しました。 轟先生からは、過剰な光入力に対して自律的に光ファイバ回線を切断する無給電デバイスである「光ヒューズ」と、光ファイバによる伝送路の途中に存在する欠陥により発生する「ファイバヒューズ現象」に関するご講演を頂きました。光ファイバの伝送路の途中に急峻な曲げや光吸収体が導入されると、その部分への局所的なエネルギー集中が起爆剤となって連鎖的な損傷発生がファイバに沿って光源に向かって伝播し、ファイバ全体を破壊してしまいます。ファイバヒューズ現象については実際に見せて頂くことができました。ファイバの中を火の玉が移動して行く様子(=光を放ちながら連鎖的な損傷がファイバ内を伝播)は圧巻でした。 和田先生からは、ガラス表面への三次元ナノ構造体の作製に関するご講演を頂きました。導電膜を付けたガラス上にドライプロセスでAlを成膜加工し、陽極酸化法により自己組織化した多孔質アルミナとし、そのナノ細孔へゾル−ゲル法及び電析法によって酸化物や金属を導入して機能化した三次元のナノ構造体を作製することができます。成膜加工したAl膜の限界高電位付近での均一な陽極酸化皮膜の生成は容易ではないそうですが、導電膜の性質や成膜条件を適切にコントロールすることによって緻密な成膜加工膜を得ることが可能で、このようにして作製したAl膜は陽極酸化しても剥離が起こらないそうです。この研究の目的のひとつに有害有機気体の分解があり、アルミナ多孔膜とゾル−ゲル法+エッチングの組み合わせによって作製されたTiO2配列のナノ構造体によって、高効率光触媒が得られています。成膜技術の改善や複数分野のノウハウの集約が重要とのことでしたが、物理と化学の幅広い領域の技術を応用したものであり、他の技術への更なる発展性を感じました。
[見学会]機能性ガラスグループの実験設備見学 今回の懇談会開催にあたり、機能性ガラスグループの井上ディレクターをはじめ、物質研究所の皆様に様々なご配慮を頂きました。この場を借りて、あらためてお礼申し上げます。 次回も更に活発で有意義な会となるよう、皆様のご参加をお待ちしております。
以上 |
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