事業報告及び計画 2023年度事業報告書 2024年度事業計画 |
2023年度事業報告書 2023年4月1日より2024年3月31日まで |
[T]事業の概要
2023年5月に新型コロナが5
類へ移行されたが、ニューガラスフォーラム(NGF)においては職員の年齢構成等を考慮し、2023年度も感染防止に一定の配慮をしつつ各事業の目的を勘案して活動を行った。各研究会・セミナーはWeb
及びWeb 併用開催、若手懇談会は講師・参加者間の対話を図るために対面開催として計画通り開催したところ、何れも2022
年度比で参加者は増加した。ニューガラス大学院は、できるだけ多数の方々に参加いただくと同時に人的交流を図るため、2022年度に引き続きWeb併用開催とした。その結果、過去最多の参加者があり、活発な質疑応答がなされた。また、ガラスデータベース「INTERGLAD」は、例年通りデータ登録及び機能性改善を進めるとともに、事業の継続性確保の一環としてデータ入力単価の見直しに着手した。機関誌については計画通り年3回刊行した。 1. ニューガラスに関する産業及び技術開発動向等の情報の収集及び提供 (定款 第4条第1項第1号関係) 「シーズとニーズの出会いの場」と「メーカーとユーザーの積極的な情報交換の場」としてホームページを更に活用し易くするため表紙を刷新した。また、ニューガラスフォーラムの活動(研究会、セミナー、講演会)や外部学会等で得た技術開発動向や情報をホームページや機関誌“NEW GLASS”を通じて会員へ情報発信した。 2.ニューガラスの産業及び技術開発等に関する調査 (定款 第4条第1項第2号関係) 2022年度に開始したガラス熔融プロセスにおける脱炭素化技術に関する調査事業を本年度も継続実施した。国内外の関連技術の動向、特にハイブリッド溶融、水素燃焼、アンモニア燃焼、CCUS 等について調査した結果を報告書にまとめ、2024年3月14日の報告会にて会員企業への説明を行った。またガラス業界を取り巻く社会環境、インフラ整備などの情報を共有するため、同報告会に併せて外部講師2 名を招いて「水素の供給・コスト」、「CO2回収」についての講演会を開催した。 しかしながら調査報告会の参加者は21名と2022年度の73名から大きく減少し、また調査結果報告に対する質疑応答がほとんど無かったことは残念であった。一方で、アンケートでは、業務に有益な情報が得られた/来年も参加したいという意見が多く、2024年度に向けて開催の時期や周知方法などについて見直しを行っていく。 2023年9月26日にはオランダの研究開発団体GlassTrendとの共催セミナーを開催し、欧州でのカーボンニュートラルへの取り組み状況を直接聞ける場をNGF 会員へ提供した。Web併用形式で開催し、日本からの参加者は26名であった。海外団体との共催セミナーは初の試みであったが大きなトラブルも無く終了し、GlassTrendからは2024年度も開催したい旨の申し入れがあり、11月26日に開催予定である。 また水素燃焼が泡の生成・成長に与える影響についての基礎的な研究を委託することについて国内大学との合意を得た。2024年4月から実験を開始する。 3.ニューガラスに関する研究開発 (定款 第4条第1項第3号関係) 三次元光デバイス・ナノガラス研究事業 「ナノガラス技術」プロジェクトで得た成果とこれ等に関連して新たに創出した成果に由来する従来手法と異なる二種類のガラス強化技術について、普及活動を継続してきた。このうち一方の技術については、処理条件の最適化により概ね目標に近いレベルに達したこともあり昨年度に会員企業との契約を終了している。 もう一方の強化技術については、2022年度末に応用可能性を検討したい旨の申し入れがあった会員企業と2023年度に新たに契約を締結し、当該強化技術による味見の強化テストを実施した。その結果、基本的には本技術による強化の可能性は確認できたものの、条件最適化のためにはかなりの時間と費用が必要と見込まれ、先方の開発スケジュールにマッチしないため、以降の検討は実施しないこととなった。 この結果を受け、事前に立案した計画に従って本活動は終了とし、NGF つくば研究室の撤収を2023年11月末に完了した。 4.ニューガラスに関する講習会、講演会、セミナー及び研究会等の開催 (定款 第4条第1項第4号関係) (1)研究会の開催 ガラス科学技術研究会(主査:東京都立大学梶原浩一教授) 評価技術研究会(主査:豊橋技術科学大学武藤浩行教授) ニューガラスセミナー(主査:滋賀県立大学松岡純教授) 2023年度は予定していたガラス科学技術研究会を2回、評価技術研究会を2回、合同研究会を2回、ニューガラスセミナーを3回の計9回全てを開催した。参加者が50名を超えるときもあり、平均の参加者は36名と2022年度の26名を上回った。開催形式は2020〜22年度は全てWeb開催であったが、2023年度は5回をWeb併用方式で開催した。 当初は音声品質などに不具合があったが徐々に改善し、また併せて実施した技術交流会(懇親会)も好評であった。各回のテーマ、開催日、開催方式、参加者は下表のとおりである。 各研究会・セミナー間でのテーマや開催時期の重なりを避けるため、年度内に各主査とすりあわせを行って2024年度のテーマと開催時期を決定した。 (2)講座の開催 ニューガラス大学院 (委員長:北海道大学 忠永 清治 教授) ガラスの研究・開発・製造・応用に携わる人材の育成に寄与するため、大学教員や企業の研究者・技術者等の各分野の講師による計18 テーマの講座を、基礎課程として10月12、13日、応用課程として10月26、27日の計4日間開催した。ニューガラス大学院は、単に講義を聞くだけでなく、講師と意見交換することも目的の一つであると考えている。 2023年度も、基礎課程では材料科学からガラスの諸物性について、また応用課程では、ご好評をいただいている製造フローに沿っての各技術の講座とした。本年は18テーマ中6テーマで新講師が担当した。また、機械学習・マテリアルインフォマティックスに関する講座を、特別講座として応用課程で実施した。 新型コロナが終息しつつあった2022年度から採用を始めた対面による講義と遠方からも参加しやすいWebを併用した開催方式を2023年度も採用した。会場としては、密集が避けられる広い会場のAGCものづくり研修センターを2023年度もお借りし、対面を前年度の30名から70名の枠に拡大。参加者は計121名(基礎課程106名、応用課程103名:一方の課程のみ参加の方あり)となり、両課程とも過去最多の受講者に参加いただいた。また対面、およびWebの両方から多くの質問をいただき、活発な質疑応答ができた。懇親会も4年ぶりに再開したところ、講師との交流ができた点が評価された。 講義後のアンケート結果からは、Web併用方式でのマイクの音量や設置位置など、会場とWeb双方の聞き取りやすさの調整に関しては課題が残り、今後もより一層の準備が必要である。 (4)若手懇談会の開催 (会長:日本電気硝子(株) 福本彰太郎) 2023年度は2022年度と同様に意図して通年テーマは設けず、「興味を広げる」という方針に基づき講演会はサブテーマのみを設定し、計画通り4回開催した。年間の参加者は平均21名/回(2022年度は17名/回)であった。開催方法については、この会の目的の一つである講師ならびに参加者間のコミュニケーションを図るということから全て通常開催とした。 講演会の企画ならびに運営は産・学より選出された役員(11名)により行われ、年3回開催した。各回のテーマ、日程及び開催方法は以下の通りであった。 第149回若手懇談会: XAFS 等の放射光を用いたガラスの分析 (2023.05.19) 通常20名 第150回若手懇談会(見学会): サステナビリティ (2023.07.21) 通常17 名 第151回若手懇談会: 大先輩に学ぶ (2023.10.13) 通常24 名 第152回若手懇談会: 結晶化ガラス・分相ガラス (2024.02.09) 通常21 名 (5)見学会の開催 近年、会員企業のガラス関連施設を訪問する見学会は企業間の制約が多く、2023年度も開催に至らなかった。 5.ニューガラスに関連するデータベースの構築、維持及びその提供(定款 第4条第1項第5号関係) 2023年度もデータの収録充実に注力し、年間約7,600件の新規登録を行った。その結果、3月末時点における収録ガラス数(特性・構造データの総計)は、約39.5万件となった。データベースの更新は、4月、9月、1月の3回実施した。併せて2023年度の開発項目としてシステムの改良を行い、3月末時点でVer8.3.1.5が最新のシステムとなっている。 普及のためのPR活動として、本年も基礎講習会を7月に、応用講習会を11月にWebにより開催した。基礎講習会については初心者からのニーズが多いため2回実施した。 一方、本事業を将来に渡って継続していくためには、多くの費用を必要とするシステム更新、およびガラスに関する専門的知識を必要とするデータ入力技術者の確保を継続的に進めていく必要がある。この対応の一環として、本年度よりデータ入力単価の見直しに着手したが、今後システム更新を含めた原資を確保していくためにINTERGLAD会費に関して適正な価格改訂を検討していく予定である。 6.ニューガラスに関連する産業及び科学技術に関する機関誌の発行 (定款 第4条第1項第6号関係) 機関誌“NEW GLASS”の発行 (編集委員長:名古屋工業大学 早川 知克 教授) ニューガラスに関する国内外の新製品・新技術の紹介、内外のニュース、関連産業の動向、技術解説を内容とした機関誌“NEW GLASS”を、2023年度も計画通り年3回刊行し、会員ならびに定期購読者(約70名)他に提供した。編集委員会は充実した企画内容ならびに構成を実現すべく機関誌の企画、編集を行い、年3回開催した。特に、特集は事前にテーマ、執筆者候補を挙げ、より深く議論することにより、その充実を図った。2023年度の特集のテーマは以下の通りであった。 第139号(2023年 7月1日刊行): 「ガラスの結晶化とその応用〜最近の展開〜」 第140号(2023年11月1日刊行): 「サステナブル社会とガラス」 第141号(2024年 3月1日刊行): 「半導体を支えるガラス」 7.ニューガラスに関する標準化・規格化の調査研究 (定款 第4条第1項第7号関係) (1)JIS R 3252-1994「ガラスのレーザ干渉法による均質度の測定方法」 日本光学硝子工業会が事務局となってJIS原案作成委員会が発足し、NGFは中立の委員として参加している。2023年度は2回の会合があり参加した。 8.ニューガラスに関連ある内外の団体、学会及び研究機関との交流及び協力 (定款 第4条第1項第8号関係) (1)経済産業省、NEDO 及び材料関連6 団体との情報交換会については、2023年度は開催されなかった。 (2)GIC の活動として、例年通り、環境広報部会、環境技術部会、プロセス・材料技術部会、ガラス研究振興部会の委員並びに事務局として参画し、Topインタビューの企画・遂行、環境に係わる諸活動及び運営事務局としての活動等を予定通り実施した。また、青少年のための科学の祭典大阪大会および小金井大会に説明員として参加・協力した。 (3)GIC シンポジウムが2023 年11 月27 日に通常開催され、NGF メンバーも事務局として準備・運営に協力した。「ガラスの製造・研究開発に貢献するMI, DX」というテーマで3件の招待講演とポスターセッションが開催され、活発な討議が行われた。アンケートでもかなりの高評価を頂いた。 9.前各号に掲げるもののほか、本会の目的を達成するために必要な事業 (定款 第4条第1項第9号関係) (1)GICFLOWユーザー会(主査:東京工業大学 佐藤 勲 教授) GICFLOW ユーザー会は2022 年度末で解散し、ソフトについては2023年度から「GICFLOW利用を希望する企業には利用期限が実質無期限かつ保守サポートを含まない売り切りのソフトを販売する」という形態とし、2023年度末までに計2セット(大学x1、企業x1)の販売実績があった。今後上記ソフトを購入した企業が改造を希望した場合は、NGFがソフト製作会社との仲介のみを行う。 (2)気中溶解技術の普及 NEDOプロジェクト「革新的ガラス溶融プロセス技術開発」(2008〜12年度)の国内企業への成果普及活動を継続している。これまでに試験用の小型バーナーを開発し紹介活動を進めてきたが、2023年度も新たな導入実績は無かった。引き続き普及活動を継続する。 (3)ガラス研究振興事業 大学等における若手・中堅の研究者によるガラスの学術的研究に対して産業界から支援を行い、ガラス材料に関する基礎的研究の推進を後押しし、ガラス材料研究者の育成を図ることを目的として、GICと共催で「ガラス研究振興事業」を2021年度に開始した。 2023年度向け研究テーマに関しては、2023年1、2月の審査会にてエキスパートコースから2件、調査研究として1件が採択され、2023年5月に助成金を支給して研究がスタートした。6月の総会で研究助成金授与式を、また12月に意見交換会を実施した。この意見交換会では非常に活発なご議論をいただき、採択テーマの研究者にとっても有意義であったとのコメントを頂いている。意見交換会の資料および質疑応答は冊子にまとめ、審査員、GICガラス研究振興部会委員、NGF研究振興委員、およびスポンサー各社にお配りした。 一方で、この2023年度向け募集では2022年度と比較して応募件数が減少し、特に他分野研究者向けのチャレンジコースには応募がない状況であった。検討の結果、これは研究者への認知活動が不十分だったためと判断し、2024 年度向け募集では全国149の大学等に直接連絡を取り、各大学でのポスター掲示や各大学の助成金リストへの掲載を進 めるとともにWeb説明会を実施し、本プログラムの認知に努めた。併せて応募の間口を広げるために、募集要項について以下の改定を行った。 ・エキスパートコースとチャレンジコースの各コース別に審査を実施 ・柔軟な採択に繋げるため、研究助成額の範囲を300万円〜900万円/期間に拡大 これらの活動の成果により、2024年度向け募集では最終的にエキスパートコース5件、チャレンジコース6件と応募件数が大きく増加した。その後、2024年1、2月に研究審査会を開催し、厳正な審査の結果、3月末に2024年度採択テーマとして、以下の通り、エキスパートコースで1件、チャレンジコースで2件の採択が決定された。 <エキスパートコース> 1.ガラスのテラヘルツ帯普遍的励起の起源解明とテラヘルツ光との相互作用の理解 (筑波大学数理物質系物質工学域 助教 森 龍也) <チャレンジコース> 1.カップリング剤によるガラス表面金属層の創成およびその界面解析 (岩手大学理工学部化学・生命理工学科 准教授 桑 静) 2.高耐久,高機能ウェアラブルデバイスを実現する「着るガラス電子回路基板」の研究開発 (東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻 准教授 高松 誠一) 2022・23年度の採択者からは、助成金を初年度に一括提供する点や研究期間が3年であることが装置導入のし易さや基礎研究に挑戦できる点で高評価を頂いた。また、審査委員からも周囲の分野を巻き込む将来の研究展開の起点となるような成果に繋がるなどの期待も頂き、本プログラムがガラス研究振興および研究人材の確保・育成という当 初の目的に大きく寄与し始めていると判断している。 これら第一期の成果を受けて、第二期(2025〜27年度)を実施することがGIC及びNGFの理事会で決議され、現在第二期開始の準備を進めている。 [U]業務執行ならびに事務局の概要 1.定時総会 2023年6月19日に(一社)ニューガラスフォーラム第13回定時総会をWeb 併用形式にて開催した。 議決数: 正会員14 法人 議決事項 第1 号議案 2022年度事業報告案ならびに収支実績案及び決算案の件 第2 号議案 2023年度事業計画案ならびに収支予算案の件 第3 号議案 2022年度・2023年度役員(理事・監事)選任案の件 第4 号議案 定款変更の件 2.理事会 2023年6月1日に第33回理事会をWeb併用形式にて開催した。 審議事項 第1号議案 2022年度事業報告案ならびに収支実績案及び決算案の件 第2号議案 2022年度・2023年度役員(理事・監事)選任案の件 2023年6月19日に第34回理事会をWeb併用形式にて開催した。 審議事項 第1号議案 2022年度・2023年度役員(会長・副会長・専務理事)選任案の件 2024年3月18日に第35回理事会をWeb併用形式にて開催した。 審議事項 第1号議案 NGF事業活動の見直しと損益改善対策案の件 第2号議案 会費の改定案の件 第3号議案 規約の制定改廃案の件NGF ・会費規則(GE−300) 第4号議案 2024年度事業計画案の件 第5号議案 2024年度収支予算案の件 第6号議案 ガラス研究振興プログラム継続の提案について― 第二期2025〜2027年度―の件 3.事務局 2023年4月1日現在の役員・職員は常勤役員1 名・出向職員2名・嘱託職員6名・派遣職員0名・出向研究員(つくば)0名・嘱託研究員(つくば)1名・補助研究員(つくば)0名の計10名であった。 2024年3月31日現在の人員は常勤役員1名・出向職員3名・嘱託職員6名・派遣職員0名・出向研究員0名・嘱託研究員0名・補助研究員0名の計10名となっている。 |
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