若手懇談会前回の講演会
93回講演会報告について


第93回若手懇談会開催報告

【日時】2008年10月27日(月)13時〜19時
【場所】ニューガラスフォーラム会議室

[講演1]「リン酸塩系ガラスを用いた放射性塩廃棄物の処理に関する検討」
      日本原子力研究開発機構 天本 一平 先生

 わが国の次世代の原子力発電方式として期待されている金属燃料を用いた高速増殖炉の核燃料サイクルシステムと同システムから発生する核分裂生成物の安定化処理にリン酸塩系ガラスを適用すべく技術開発を行っていることについて紹介をいただいた。リン酸塩系ガラスの利点として各種元素に対する溶解度が大きいこと、融点等が低いことが利点であるとのことであり、十分な耐水性のあるリン酸塩系ガラスも開発された現在,現状の固化材料であるホウ珪酸ガラスと大差ない物性値を持つとからも,将来の廃棄物固化材料として可能性があるとのお話であった。本講演はガラスの非常に特殊な使われ方であるが、逆にその可能性の広さを感じることができたと思われる。


[講演2]「開発は糾える縄の如し」
      HOYA株式会社 虎溪 久良 先生

先生が技術開発の歴史として興味をお持ちのレーザーの誕生、またこれまで従事してきた光ファイバー通信用ガラス、レーザー核融合用ガラスの開発経験をお話いただいた。特にレーザ核融合用ガラスについては、Phosphate glassを採用した経緯、蛍光寿命の長時間化としてOH基濃度制御を既知の知見を上手く活かして解決されたこと、ビームの高品質化としてアサーマルガラス特性を持たせたことを説明いただいた。講演の中では開発を振り返ってどうすべきだったか、なども交えてお話いただき示唆に富んだ講演であったと考えている。


[講演3]「環境を見る目」
      科学技術振興機構 安井 至 先生

現在関心をもたれている環境問題、特に地球温暖化問題について科学的見地からご説明いただいた。説明にはICPP第4次報告書などのデータを使用されており、最新の情報を得ることができた。また環境問題は科学的な判断の他、政治的・経済的な視点もあるが、京都議定書、洞爺湖サミットなどの説明もあり視野が広がる講演であった。窯業は非常にエネルギーを使用する産業であるが、今後の発展は省エネルギーなしではありえず、このトレンドをチャンスと受け止め技術開発を行って欲しいと激励をいただいた。



 今回は著名な先生にご講演いただき、非常に貴重な講演会になりました。またガラスの使用範囲の広さを改めて感じ、その可能性の広さを改めて知る良い機会ともなりました。さらに今回は若手懇の役員も改選され、新役員を新た迎えることができました。今後も会員の皆さんが多く参加し、有意義に感じていただける会にしていきたいと考えています。恒例の懇親会も多くの方に参加していただき、とても盛り上がりました。これからも若手懇談会をどうぞよろしくお願いいたします。

以上

2008年12月12日
若手懇談会 副会長
宮地 正己、深沢 祐司




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